「愛する息子は、殺人犯か、それとも被害者か」。雫井脩介による累計発行部数20万部突破のベストセラー小説を、『人魚の眠る家』の堤幸彦監督が実写映画化した「望み」は、平穏な家庭を突如襲った残酷な事件をきっかけに、極限状態に置かれた家族が抱く二つの、しかし決定的に異なる「望み」を描き出した、魂を揺さぶる心理サスペンス・ヒューマンドラマです。あらすじから涙が溢れるネタバレ結末まで徹底的に解説します。

あらすじ

建築家の石川一登(堤真一)は、妻の貴代美(石田ゆり子)と高一の息子・規士(岡田健史)、中三の娘・雅(清原果耶)と共に、自ら設計した美しい家で幸せに暮らしていました。しかし、冬休みのある夜、規士が外出先から戻らず、連絡が途絶えてしまいます。

翌日、規士の友人が殺害されたというニュースが飛び込み、警察は規士が事件に関与している可能性があると告げます。逃亡中の規士は、加害者なのか、それとももう一人の被害者なのか。一登は、たとえ死んでいても息子の無実を信じたい(望みA)と願い、貴代美は、たとえ人殺しであっても息子に生きていてほしい(望みB)と切望します。崩壊していく家族の絆。最後に残された、あまりにも切ない「望み」の正体とは――。

登場人物

石川一登(堤真一)

本作の主人公。建築家。一登は、規士が「殺人犯」になるくらいなら「被害者」であってほしいという、父親としての誇りと苦悩を抱える。堤真一が、理性を保とうとしながらも崩れていく一登の内面を見事に体現しています。

石川貴代美(石田ゆり子)

一登の妻。校正者。貴代美は、世間の非難を浴びても、殺人犯として一生を終えても「生きてさえいてくれればいい」と願う。石田ゆり子の、母としての剥き出しの愛と狂気を感じさせる芝居が圧巻です。

石川規士(岡田健史)

失踪した息子。物語の空白を埋める、キーパーソン。岡田健史が、若さゆえの危うさと優しさを絶妙なバランスで演じています。

石川雅(清原果耶)

規士の妹。自身の受験への影響を恐れながらも、兄への想いに揺れる。

見どころ。堤幸彦監督が描く「密室の家族劇」

本作の見どころは、堤監督による、逃げ場のない「家」という密室の中で繰り広げられる、濃密な心理戦です。

親の愛の「残酷さ」と「深さ」

どちらの言い分も正しい。だからこそ苦しい。本作は、観る者に対しても「あなたならどちらを望むか」という究極の選択を突きつけます。父と母、それぞれの価値観が激しくぶつかり合うシーンは、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。

清原果耶ら若手実力派の光る芝居

堤真一、石田ゆり子というベテランに負けず劣らず、岡田健史や清原果耶といった若手陣の演技が光ります。特に、家族の中で最も現実的で冷めた視線を持つ妹・雅が、最後に見せる感情の爆発は必見です。

ネタバレ注意。明かされる真実と、遺された者の明日

物語の終盤、ついに規士の行方が判明します。彼は、友人を救おうとして事件に巻き込まれた、二人目の被害者でした。規士は最期まで正義を貫き、命を落としていたのです。

一登の望みは「無実」という形で叶い、貴代美の望みは「生存」という形で潰えました。規士が無実であったことに安堵しながらも、彼を失った事実に打ちのめされる家族。しかし、規士が最期まで持っていた「ある遺品」が、彼がどれほど家族を愛していたかを物語っていました。ラストシーン、規士の部屋で彼の気配を感じながら、再び歩み始める家族。悲しみは消えませんが、そこには確かな「誇り」という名の希望がありました。

まとめ

映画「望み」は、家族という共同体の尊さと、人を信じることの難しさを教えてくれる傑作です。堤真一と石田ゆり子が魅せた、極限の夫婦像。あなたがもし、当たり前の日常の脆さを痛感しているなら、ぜひHuluでこの家族の物語を観てください。観終わった後、あなたの「望み」もまた、静かに形を変えていくはずです。

項目 詳細内容
作品名 望み
主演 堤真一
出演 石田ゆり子、岡田健史、清原果耶、加藤雅也、市毛良枝、松田翔太、竜雷太 ほか
監督 堤幸彦
脚本 奥寺佐渡子
原作 雫井脩介『望み』(角川文庫 刊)
製作年 2020年
ジャンル 人間ドラマ、サスペンス、ミステリー

本ページの情報は2026年5月時点のものです。最新の配信状況はHuluサイトにて ご確認ください。